年金受給者が死亡した場合に発生する未支給年金は、相続人が相続する財産です。
基本的に金銭などの相続財産は、相続税が発生した場合に課税対象になりますが、未支給年金も対象となり得るのでしょうか。
今回は未支給年金に相続税はかかるのかどうか、解説していきましょう。
未支給年金の相続税
未支給年金の相続税については、年金の種類によって課税対象になるかどうかが変わります。
それぞれの年金の未支給分について、詳しくみていきましょう。
公的年金の未支給分は相続税の対象ではない
国民年金や厚生年金は公的年金です。
公的年金は受給月の過去2ヶ月分支給されます。
そのため死亡した月によって、1ヶ月もしくは2ヶ月分が未収支年金になります。
公的年金で発生した未収支年金は、相続税の対象ではありません。
個人年金の未支給分は相続税の課税対象
個人が民間の保険会社と契約して受け取るのが個人年金です。
個人年金は、契約内容によって相続人に年金が支給される場合があります。
年金を受け取る期間が終わる前に死亡した場合は、未支給年金となります。
相続人が個人年金の未支給年金を受け取る場合は、相続とみなされ相続税の課税対象です。
企業年金の未支給分は相続税の課税対象
企業年金は企業が導入している制度で、年金形式で退職金が支払われます。
支給期間中に対象の従業員が死亡すると、残りの期間は未支給年金になります。
未支給年金を相続人が受け取る場合は相続とみなされ、相続税の課税対象となるので注意しましょう。
年金形式ではない企業で在職中に死亡した場合、死亡退職金は相続税の課税対象です。
遺族年金や障害年金は相続税も含めてすべて非課税
公的年金の被保険者だった方が死亡した場合に、その年金で生計を維持していた遺族が受け取るのが遺族年金です。
身体や精神などの障害を持っている人が受け取るのが障害年金です。
このふたつの年金については、所得税法で非課税となっています。
所得税のほか住民税や相続税、贈与税もかかりません。
確定拠出年金はみなし相続財産として相続税の課税対象
iDeCo(イデコ)などの確定拠出年金の場合、死亡後3年以内に死亡一時金の支給が確定するとみなし相続財産になります。
みなし相続財産は相続税の課税対象です。
なお、iDeCoに似た制度に国民年金基金がありますが、国民年金基金の遺族一時金については相続税の課税対象ではありません。
まとめ
年金の受給者が死亡した時に相続人が受け取る未支給分については年金の種類で相続税の課税対象が異なります。未支給年金と相続税の関係は少し複雑ですので、不安な方は税のプロである税理士に相談しましょう。